やらまい勝っちゃん

聖隷浜松病院副院長兼総看護部長 勝原裕美子のブログ

2007年11月02日

「シンクロニシティ:未来をつくるリーダーシップ」

(ジョセフ・ジャウォースキー著、金井壽宏監修、野津智子訳)英治出版 2007

 

 最初は、どこがリーダーシップの本だろうかと思った。著者の伝記として読めばそれはそれでおもしろいが、リーダーシップの本のつもりで読み始めたため、前半はぴんとこないことが多かった。しかし、後半にはいると、ジャウォースキーという社会起業家が、なぜ社会起業家に至ったのかが表題のシンクロニシティ(同時性・共時性)という言葉と実にフィットするようになり、これは社会的リーダーの話、世界の一体性をもたらすリーダーの話だということへの理解が進んだ。 Synchronicityは、リーダーズ英和辞典によると、共時性ともいい、ユングが提唱した概念となっている。「2つ以上のできごとが同時に生じ、意味のある関連があるようにみえていて因果関係が判明しない」という現象を説明するための原理だという。ジャウォースキーの意図とは別に、次々と起こる現象が、自分のなすべきこと、生きる意味を問うことにつながっていることに気づいたとき、彼はこれまでの生きかたをすべて変えた。次々と起こる現象の発端には、デヴィッド・ボームとの対話も含まれている。彼がボームから学んだのは、「すべての物質も宇宙も、絶えず動いている。私たちの目には見えないレベルで、完全な全体性すなわち「内蔵秩序」があり、そこから、分断しているように見える出来事が生じていく。すべての人類は、絶えず出現する完全な全体性の一部である。そして、人生における責任の一つは、心を開き、学ぶこと。それによって、新たに現れる現実を感じ、それを実現できるようになることである」(p.220)ということで、この学びから彼の人生にシンクロニシティが生じ始めたという。

彼の人生が特別なものだという読み方をすれば、小説で終わってしまう。しかし、彼に起きたシンクロニシティを通して、読み手が自らの世界観がどのように構成されているかに思い至ることができたなら、彼とのシンクロニシティをも感じられる本だと思う。

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by admin|2007年11月02日 00:00|コメント (2) トラックバック (1)