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「おとうと」
幸田文(新潮社)昭和43年 (オリジナルは、昭和32年中央公論社)
私にも、やんちゃな(といっても、もう子ども2人を持つ立派な大人だが)弟がいるので、
つい手にとってみた。
作家である父と継母との4人家族。
3つ違いの弟を、小さいときから面倒見続ける「姉」が中心に物語が構成される。
読み終わってからわかったが、これは、幸田文のほぼ自伝に近いものだそうだ。
幸田露伴を父にもつ文には弟がいたが、19歳で急逝している。
実の母親を7歳で失い、8歳で父親が再婚しているので、まさに、自叙伝だ。
弟はやんちゃだが、姉がいるから安定しているように思える。
その弟が結核にかかる。そのとき、看病につくのが「一等看護婦」(p.171)と表現されている。
インターネットで調べると、どうも婦長級の看護師を、当時はそう呼んでいたらしい。
最期の場面では、物語として気持ちが揺さぶられるだけでなく、家族をケアする看護師の職業人としての描写が、思いがけずきちんと「看護」を伝えていることに感動したのだった。 (平成20年7月6日)
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