(ギュスターヴ・ル・ボン、櫻井成夫訳、講談社学術文庫) 1993年
この古典的名著は、1895年に初版が刊行されている。
今から100年以上も前のことだ。
フランス革命やナポレオンへの言及が多いのもうなづける。
心理学的に群集の精神をとらえようとした本書は、
表現が過激であったり、偏見ではないかと思わせたりする件をたくさん抱えていて、
ちょっと眉をしかめたくなるような箇所もたくさんある。
その一方で、
「集団力学」「組織の成長」「リーダーシップ」などと呼ばれている最近の考え方に
きわめて似たような記述もみられて、非常に興味深く読んだ。
たとえば、
○群集に思想や信念を染み込ませるために、
群集の指導者は断言(簡潔に言い切る)、反復(断言を繰り返す)、感染の3つの要素を必要とする
といったことは、「理念の浸透」や「リーダーシップ」で言われていることと似ている。
○群集は暗示を受けやすく、物事を軽々しく信じる性質があるとか、
群集になると、個人でいるよりも愚かであり合理性を失うといったことは、
「集団の意思決定」「集団力学」などで学ぶことである。
時代は変わっても、人間ってさほど変わらずに愚かであり、賢くもあるのだなあと
思わされた。
(平成21年1月31日)