(天童荒太、文藝春秋,2011)
数日前に、芥川賞と直木賞の発表があったが、
私は、流行や評判の本を読むというよりは、
その時に読みたい本を読んでいるので、賞には無頓着だ。
本書は、第140回(2009年)の直木賞をとった作品なので
3年前にはすごく評判になったのだろうが、
私は今頃読み終えた。
正直、やっぱり評判の本はすごいなと思った。
ちっぽけな自分
何もできない自分
愛されない自分・・・・たとえそんな自分でも、誰かに感謝されたり愛されたりした経験は必ずある。
主人公の”悼む人”である静人は、
そういう人間の側面に目を向け、死んだ人を悼み続ける。
この本を読むと、
望まれない生は一つもないのだということが信じられる。
人に感謝し、人を愛することが大事なことだということをあらためて感じられる。
最後の死の世界の描写は、死を怖いというイメージから生の続きだというイメージに変えてくれる。
静人を取り巻くさまざまな人物が登場するので、
自分は、いったいどの人に近いのだろと想像しながら読んだが、
どの人にも共通する自分がいることにも気づく。
そんな本だった。
(平成24年1月19日)